建物は地震にどこまで安全か? ~専門家と一般の方との橋渡し~


A.4 制震、免震の使い方、耐震との違いはなんですか?

耐震・制震・免震の違い
耐震・制震・免震の違い

制震と免震の違いを右図に示します。なお、ここでは両者の違いを従来の耐震と比較して理解を進められるように、耐震を並列して示します。

 

耐震は、建物ができるだけ倒壊・崩壊しないように揺れに耐える構造形式です。建物の主構造体である「柱・梁」や「壁」にある程度の損傷を許し、建物が倒壊・崩壊しないようにします。そのため、これらの部材に十分な「強さ(強度)」と「ねばり」を持たせ、もろい壊れ方をしないようにします。これにより建物の揺れのエネルギーを吸収させます。言い換えると、建物自身を適当に傷つけながらエネルギー吸収させます。

 

制震は、建物に「制震装置」を設け、揺れを制する構造形式です。制震装置により建物の揺れのエネルギーを吸収させます。

 

免震は、主に建物の下に「免震装置」を設け、揺れを免れる構造形式です。免震装置により建物を長周期化して地震動と非共振化し、合わせて減衰付加ダンパーを設け、建物の揺れを減らします。 

 

耐震・制震・免震の特徴をまとめて下表に示します。それぞれを利用する上で注意すべき点は次の通りです。

 

耐震は、”鉄筋コンクリート造”では、耐震壁が建物の強さを決める重要な要素となります。建築計画を損なわないよう耐震壁を有効に配置します。また、柱や壁のもろいせん断破壊に注意します。柱・梁のねばり強さ(じん性)を期待する場合には、建物に過大な変形が生じないよう注意します。ねばり強さを期待するため最近多用される「構造スリット」を用いる場合には、その配置・施工法に十分注意する必要があります。”鉄骨造”では、部材のもろい座屈破壊に注意します。

 

制震は、揺れを減らす性能が制震装置の種類や配置などにより大きく変わるため、装置の特性が十分発揮できるよう適切に使用します。なお、特に高層ビルの場合、強風の揺れを減らすためにアクティブ・マスダンパーを使ったり、大地震に対してセミアクティブ制震を用いることがあります。

 

免震では、地震時に免震層は大きく変形します。そのため、建物と基礎の隙間には変形に追随できるエキスパンションジョイントが、また、免震層を貫通する配管にはフレキシブルジョイントが設けられます。これらが十分でない免震建物が過去の地震で損傷事故を起こしているので注意が必要です。また、建物を長周期化するため、長周期地震動に注意する必要があります。

耐震・制震・免震の違い
耐震・制震・免震の特徴

鉄筋コンクリート柱・梁【1】と壁【2】



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